知財研フォーラム

フォーラム88号

知財研フォーラム 2012 Winter Vol.88

2012年2月発刊
在庫なし

Contents
巻頭言
足立 直樹 (Naoki Adachi) 〔凸版印刷株式会社 代表取締役会長〕
【特集】権利活用の新たな潮流
3 特許権群を取引対象とすることの合理性
  寺本 振透 (Shinto Teramoto) 
〔九州大学大学院法学研究院 教授、西村あさひ法律事務所 顧問弁護士〕
近時、特許権群を取引の対象としたり、特許権群の価値に注目して企業そのものを買収したりする例が顕著である。これらが買収側にとって合理的な取引であることは周知の事実であるが、新技術の恩恵に浴することを期待する需要家および売却側にとっても合理的な取引であることを、社会ネットワーク分析におけるdistanceの概念を借用して説明することができる。
9 知的財産による企業価値向上の新たな動き
 
鈴木 公明 (Kimiaki Suzuki) 
〔東京理科大学イノベーション専攻 准教授、東和知的財産研究所 所長〕
現在までに、知的財産を含む無形資産の情報公開の枠組みが検討され、知的財産が企業価値に与える影響の実証研究と知的財産マネジメントにより企業価値向上を目指す実践例が蓄積されてきた。知的財産立国を標榜するわが国の景気が低迷する中で、各企業が企業価値の向上と持続的発展を実現するために、戦略的な知的財産マネジメントとその積極的な情報公開が望まれる。
17 知識社会の新ビジネスモデル
  加藤 幹之 (Masanobu Katoh) 〔Intellectual Ventures 社〕
ジェームズ・ケリー (James Kelly) 〔Intellectual Ventures 社〕
ニコラス・ギブソン (Nicholas Gibson) 〔Intellectual Ventures 社〕
平野 竜男 (Tatsuo Hirano) 〔Intellectual Ventures 社〕
知識社会の進展に伴い、技術や情報自体の価値がさらに高まりつつある。また、技術の高度化や複雑化等の理由で、自社開発に加えて、いわゆるオープン・イノベーションが急務となっている。本稿は、過去、現在、将来にわたる広い技術ポートフォリオを提供することにより技術や知財の開発と活用の選択肢を広げ、オープン・イノベーションの実現をグローバルに支援するIntellectual Ventures社の活動を紹介するものである。
24 iPS細胞技術の世界的普及に向けて
 
白橋 光臣 (Mitsuomi Shirahashi) 〔iPS アカデミアジャパン株式会社 ライセンス部 部長〕
工藤 周三 (Shuzo Kudo) 〔iPS アカデミアジャパン株式会社 ライセンス部 課長〕
京都大学の山中教授らが発明したiPS細胞作製技術は、再生医療分野や創薬分野における基盤技術を構成する。よって、再生医療及び創薬技術発展のためには、iPS細胞研究成果の迅速な普及促進が必要となる。そのために、iPS細胞の基本特許権利者である京都大学は、その知財管理・運用を学外の組織に委ねることとし、iPSアカデミアジャパンを設立した。本稿では、iPSアカデミアジャ パンのこれまでの活動と、今後の取り組みについて紹介する。
【寄稿・連載】
29 国際出願のツールとしてのヘーグ協定への加盟について考える
 
小林 徹 (Toru Kobayashi) 〔特許庁 知的財産研究官〕
現在、意匠に関する外国出願について、手続きの簡素化を図るヘーグ協定への加盟に向けての議論が始まっている。意匠については、各国で制度の差異が大きいこともあり、本来的には手続き問題であるにもかかわらず、加盟に当たって、検討、調整を要する問題も多いが、出願人の便宜を向上させるとともに、多様な国際出願戦略を展開する一助ともなりうるものであることから、是非前向きな取り組みが行われることを期待したい。
35 オープンイノベーション時代の知財経営に役立つ知財情報解析
 
山内 明 (Akira Yamauchi) 
〔株式会社三井物産戦略研究所 新事業開発第二部 知財戦略室 室長 弁理士〕
グローバルな生き残りを図るための国内外競合企業間のアライアンスや、新商材の開発及び/又は既存商材の用途開発のための異業種間のアライアンス等が盛んな昨今、かかるオープンイノベーションの多様な目的や形態に応じた知財経営が実践されているとは言い難く、原因として、経営判断に役立つ知財情報解析スキルの不足が挙げられる。そこで、本稿では、M & A やアライアンスの事例を通じ、かかる知財情報解析スキルの一端を紹介したい。
41 水際における知的財産侵害物品の輸出取締りと問題点等
― ACTA発効を前にわが国の制度を再確認する ―
 
中澤 直樹 (Naoki Nakazawa) 
〔元東京税関 総括知的財産調査官(知的財産センター)付弁理士〕
昨年10 月、外務省飯倉公館において、模倣品・海賊版の拡散防止を目的とする国際条約ACTA の署名式が行われた。このACTA は、輸出取締りを含めた国境措置を強化する規定を有し、それを見越して、わが国では平成18 年に輸出規制の整備がされ、税関での輸出取締制度が導入された。本稿では、ACTA 発効を前に、その輸出取締制度の概要と、考えられる輸出特有の問題点等を再確認していきたい。
52 中国商標法最新改正案の主要なポイントの紹介及び考察
 
分部 悠介 (Yusuke Wakebe) 〔IP FORWARD代表 日本国弁護士〕
  近時、中国では、色々な重要な知的財産権関連法の改正が続いているが、その中でも商標法の改正は各方面で注目を集めている。2003 年より、今般の商標法の第三次改正の検討が開始され、その後、何度か改正案が一般に提示されて意見募集されたことがあったが、2011 年9 月1日、国務院法制弁公室から、最新の意見募集稿が公表された。本年から来年にかけて、同法の改正に係る検討が大詰めを迎えると思われ、その意味で、今後の同法の改正の方向性を的確に把握して、次回の意見募集があった段階で、適切な意見提出ができるようにするためにも、本意見募集稿の概要の把握は重要と思われることから、本稿にて、同意見募集稿の概要を紹介する。
58 特許無効の主張に関する立証基準
Microsoft v. i4i 事件米国連邦最高裁判決の解説
 
山口 裕司 (Yuji Yamaguchi) 〔ユアサハラ法律特許事務所 弁護士〕
  2011年6 月9 日のMicrosoft v. i4i 事件米国最高裁判決は、特許無効の主張について、「明白かつ確信を抱くに足る証拠」という立証基準によることを再確認した。本稿では、この最高裁判決の概要を紹介すると共に、米国証拠法における立証基準、最高裁判決で立証基準が争点となった背景、陪審への説示内容、2011年米国改正特許法による関連条文の改正、日本法への示唆について述べる。
65 判例研究⑥
ウェブサイトの記載等を根拠に我が国の国際裁判管轄が認められた事例
― 知財高判平成22年9月15日(平成22年(ネ)第10001号、第10002号、第10003号)―
 
山内 貴博 (Takahiro Yamauchi) 〔長島・大野・常松法律事務所 弁護士〕
氏家 優太 (Yuta Ujike) 〔長島・大野・常松法律事務所 弁護士〕
73 中国の法改正・判例紹介⑥
山東省食品輸出入公司等三社と馬達慶等間との不正競争紛争事件について
 
〔北京魏啓学法律事務所〕
   78 第71回ワシントン便り
  諸岡 健一 (Kenichi Morooka) 〔(一財)知的財産研究所 ワシントン事務所 所長〕
   82 知財研NEWS

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