知財研フォーラム

フォーラム85号

知財研フォーラム 2011 Spring Vol.85

2011年5月発行
在庫なし

Contents
巻頭言
つじむらきよゆき(つじむら きよゆき)〔株式会社NTTドコモ 代表取締役副社長〕
【特集】職務発明制度の現状と課題
3 職務発明訴訟における証拠収集・秘密保護手続について
  竹田 稔(たけだ みのる) 〔竹田・長谷川法律事務所 所長 弁護士〕
職務発明対価請求訴訟においては、裁判所が職務発明の成立要件である発明者の認定や、従業者等が受ける相当の対価の算定などの争点について判断するために必要な証拠資料が使用者等にとって重要な営業秘密に該当し、営業秘密を保護しつつ証拠収集することが現行民事訴訟法の解釈運用だけでは困難である。そこで、職務発明対価請求訴訟にも民事訴訟法の特則である書類の提出に関する特許法105条、秘密保護保持命令に関する同法105条の4以下、当事者尋問等の公開停止に関する同法105条の7の規定を導入して裁判所が適切な訴訟運用を行い紛争の妥当な解決を図る立法措置を検討する必要がある。
9 職務発明制度の現状と課題(セイコーエプソンの場合)
 
上柳 雅誉 (かみやなぎ まさたか)〔セイコーエプソン株式会社 業務執行役員常務 知的財産本部長〕
村上 治 (むらかみ おさむ)〔セイコーエプソン株式会社 知的財産本部 特許技術部長〕
改正特許法35条が施行され6年が経過したが、旧法に基づく判決はいまだ後を絶たない。本稿では企業内における職務発明報奨の現状と最近の課題を説明する。また、熾烈な国際競争にさらされているわが国産業にとって、国際競争力を維持するためにふさわしい職務発明制度を検証する。
15 職務発明制度の現状と課題(富士重工業の場合)
 
小林 重一 (こばやし しげかず)〔富士重工業株式会社 知的財産部 主査〕
我が社は、職務発明制度の改正に対応する形で「対価を決定するための基準」を定める社内規定を策定し、後にその一部を改定した。そのような経験をした企業の立場において気付いた職務発明制度の問題点、特に、グローバルな競争の時代において、現行職務発明制度が、不必要な企業の負担を増やす一方、ほとんど技術開発にインセンティブを与えていないという状況を論述する。
20 職務発明概論-従業者対価を中心に-
 
よしだひろし (よしだ ひろし)〔北海道大学大学院法学研究科 准教授〕
本稿は、職務発明の概要に関して、近時の裁判例に基づき、従業者対価を中心として概説した。職務発明に関しては制度論や存在意義など様々に語られるが、裁判例では、従業者対価の算定方法の緻密化が進んでいる。この傾向は、企業、従業者双方にとって、主張立証の目標の明確化と、対価の予測可能性の向上をもたらすと思われるため、好ましい傾向と考えられる。
29 近時の職務発明対価訴訟の動向と論点
 
岩瀬 ひとみ (いわせ ひとみ)〔西村あさひ法律事務所 弁護士〕
高木 楓子 (たかぎ かえでこ)〔西村あさひ法律事務所 弁護士〕
改正特許法35条は平成17年4月1日に施行されたが、旧特許法35条に基づく職務発明対価訴訟も消滅時効が完成するまではまだ提起される可能性がある。そこで本稿では、旧法下で「相当の対価」について争われた最近の裁判例(平成20年 1月~平成23年1月のもの)を対象として、近時の裁判例の動向について概観し、関連する論点のなかでも比較的注目を集めている独占の利益の算定方法を中心に議論の中身を分析してみたい。
【寄稿】
43 新しいタイプの意匠・商標を巡る諸問題について
 
小林 徹(こばやし とおる)〔特許庁知的財産研究官〕
デジタル技術の急速な進展、普及を踏まえ、現在、新しいタイプの意匠・商標の保護制度導入に向けての検討が行われている。これらについては、もりこまれている情報が豊富で変化に富んでいることから、「特定」や「登録要件」などについてこれまでとは違った議論が必要となっている。デジタル社会がもたらした恩恵を、人々が十二分に享受できるよう、「権利」と「利用」のバランスがとれた制度設計が求められている。
【連載】
50 アジアにおける知的財産への取り組み④
インドネシア-大学による知的財産権制度の普及
 
鈴木 伸一郎(すずき しんいちろう)〔前(社)発明協会 アジア太平洋工業所有権センター長〕
急速な経済成長を続けているインドネシアは、知的財産分野においても制度の整備・執行体制の強化、国民意識の昂揚などに積極的に取り組んでいる。この中で特に大きな役割を担うことが期待されているのが全国で2700を数えるともいわれる大学である。インドネシアの大学では知的財産センター(IPセンター)、知的財産アカデミー(IPアカデミー)が設置され、知的財産権制度の深化、専門家の育成と中小企業の知的財産活動の支援が進められている。これらの活動がインドネシアの知的財産文化の醸成の大きな力となることが期待される。
59 判例研究④
まねきTV事件・ロクラクⅡ事件最高裁判決の研究
 
三村 量一(みむら りょういち)〔長島・大野・常松法律事務所 弁護士〕
松田 俊治(まつだ しゅんじ)〔長島・大野・常松法律事務所 弁護士〕
藤本 祐太郎(ふじもと ゆうたろう)〔長島・大野・常松法律事務所 弁護士〕
田村 吉央(たむら よしひさ)〔長島・大野・常松法律事務所 弁護士〕
標記両判決は、テレビ放送の転送サービスに係る事案において、最高裁として初めて、送信可能化行為、公衆送信行為及び複製行為の行為主体の判断を示したものであり、今後の下級審の裁判にとどまらず、関連分野における企業活動に対しても影響を与え得る点で、重要な意義を有する。両判決の判示する内容には、インターネットサービス一般に妥当するかのような表現も散見されるが、両判決の射程は同種事案の範囲に限定されるものと解するのが相当である。また、行為主体の判断については、両判決の判示する内容には、なお明確でない点があり、今後の裁判例の動向に注意する必要がある。
70 韓国の法改正・判例紹介③
判例評釈:通話接続音の著作権問題
 
金 容甲〔金・張法律事務所 弁護士(韓国)〕
辛 昌桓〔金・張法律事務所 弁護士(New York州)〕
76 中国の法改正・判例紹介③
ブリヂストン社が公牛社を訴えた意匠権侵害訴訟事件に対する分析
 
陳 傑〔北京魏啓学法律事務所弁護士(中国)〕
   81 第68回ワシントン便り
  中槇 利明(なかまき としあき) 〔(一財)知的財産研究所 ワシントン事務所 所長〕
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