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平成23年度調査研究の概要

 

【知的財産研究所 調査研究】

1. 標準規格必須特許の権利行使に関する調査研究

 標準規格必須特許の侵害を理由として、特許権者が差止請求権を行使する場合、標準規格に準拠した事業を行う者は、設備投資等を行った事業の継続が困難となるため、特許権者に対して著しく不利な立場にあり、そのような権利行使は、その後の企業の経営や、当該標準規格の普及そのものにも悪影響を及ぼす虞がある。特に情報通信分野においては、「標準必須特許を用いた権利行使」として訴訟が係属しており、同分野においては、標準規格必須特許に関する事件に対する対応は、すでに喫緊の課題と言い得る状態に達している。

 そのため、一定の場合に差止請求権の行使が制限されるべきであるという見解が登場するに至っているが、従来の調査においては、差止請求権の行使の制限に対しては、それを必要とする見解と慎重な見解が相半ば対立する状況となっている。そのような「国内の実態について」説明をするため、(1)国内事例、国内アンケート及び国内ヒアリングの結果を紹介し、そこから、(2)情報通信分野等における「標準必須特許を用いた権利行使」の現状に潜む問題点、(3)情報通信分野等における特許権と競争法(独占禁止法)の関係、及び(4)標準化団体の運営に関する諸問題を明らかにしていく。

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【特許庁産業財産権制度問題調査研究等】

2. 国際協定への加盟に向けた意匠制度の在り方に関する調査研究
  ~ヘーグ協定加盟に向けた意匠制度の在り方~

 経済のグローバル化に伴い、我が国から世界各国への意匠出願が積極的に行われているところであるが、意匠制度は各国ごとに異なるため、意匠権取得手続には大きな負担が伴い、手続の簡素化や経費節減を我が国企業は望んでいる。

  そのような背景を踏まえ、特許庁では、国際事務局に一通の願書を提出することで、複数の締約国において出願効果が得られるヘーグ協定ジュネーブアクトへの加盟の是非を検討している。しかしながら、我が国が加盟するにあたっては、法制度の整備や業務運用の見直しが必要となる。

  そこで、我が国がヘーグ協定ジュネーブアクトに加盟すべきか否か、我が国がヘーグ協定ジュネーブアクトに加盟する場合、いかにすれば我が国出願人が有効に国際出願制度を運用することができるのか、国内法制度との関係や特許庁の業務運用への影響も考慮しながら、我が国意匠制度の在り方を検討するための基礎資料作成を目的として本調査研究を行った。

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3. 国際協定への加盟に向けた意匠制度の在り方に関する調査研究
  ~ロカルノ協定加盟に向けた意匠制度の在り方~

 経済のグローバル化に伴い、我が国から世界各国への意匠出願も積極的に行われているところだが、意匠制度は各国ごとに異なるため意匠権取得手続には大きな負担が伴うため、手続の簡素化や経費節減を我が国企業は望んでいる。

 そのような背景を踏まえ、特許庁ではヘーグ協定ジュネーブアクトへの加盟の是非を検討しているが、併せて各国が採用している国際意匠分類に関するロカルノ協定の加盟について検討する必要がある。また、日本意匠分類に代わり国際意匠分類のみで先行意匠権調査を行う場合、粗い分類のため的確な絞り込みが困難となり調査負担が大きくなるという問題がある。

 そこで、我が国のロカルノ協定加盟の是非について検討するとともに、国際意匠分類を我が国が正式に採用するにあたって、ユーザ及び特許庁意匠審査官がより有効に国際意匠分類を利用するための運用手段や方法等を明らかにすること、及びロカルノ協定への加盟時及び加盟後の我が国がとるべき施策を明らかにすることを目的として本調査研究を実施した。

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4. 発明の特別な技術的特徴を変更する補正及び発明の単一性の要件に関する調査研究

 平成19年4月1日に「意匠法等の一部を改正する法律」が施行され、特許法第17条の2第4項の規定により、拒絶理由通知を受けた後は、審査の対象となった特許請求の範囲に記載された発明を技術的に異なる別発明に変更する補正が禁止された。

 また、平成18年改正法に対応するため平成19年3月に、特許・実用新案審査基準が改訂された。 しかし、「発明の特別な技術的特徴を変更する補正」及び「発明の単一性の要件」の運用について、ユーザ一からは、硬直的過ぎるとの指摘があり、また、国際調和という観点から、審査基準の改訂を検討すべきとの要望がある。

 そこで、「発明の特別な技術的特徴を変更する補正」及び「発明の単一性の要件」に関する審査基準について、これまでの運用を調査・分析するとともに、主要国の同様な審査基準及び運用を調査・分析し、発明の特別な技術的特徴を変更する補正及び発明の単一性の要件に関する審査基準及びそれらの運用の改訂を検討するための基礎資料作成を目的として、本調査研究を行った。

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5. 特許微生物寄託機関の業務運用の在り方に関する調査研究

 我が国で微生物に係る発明について特許出願をする場合、その微生物を容易に入手することができる場合を除き、寄託機関にその微生物を寄託しなければならない。

 そして、ブダペスト条約では、特許出願に係る微生物発明の秘密を守るべく、国際寄託当局に秘密保持の義務を課している。一方、寄託業務を行う機関に対しては、安定的な業務の継続や制度利用者の利便性の向上をはかるべく業務の効率化が求められる。

 また、平成24年度、国内の2つの特許微生物寄託機関において業務の一元化が予定されており、業務の効率化が求められているところである。

 そこで、国内外の微生物株保存機関における守秘義務の担保状況、業務の兼任及び機材の共用に関する具体的手法、さらには寄託微生物のバックアップや安全管理、分譲業務の手法等を調査し、特許微生物寄託機関を安定的かつ効率的に運営するための、望ましい業務運用の在り方に関する検討を行った。

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6. デジタル社会におけるデザイン保護に即した意匠制度の在り方に関する調査研究

 近年、特定の分野においては製品単体での機能が横並び状態となり、製品の有する技術のみで差別化することが困難となってきている。そこで洗練されたデザインや使いやすいGUIでの差別化も重要となってきている。

 また、現行意匠法により保護を受けるためには、物品ごとに出願・権利化する必要があるため、権利化の手続及び費用の面で負担であるとの指摘がある。特に電子機器においては、ユーザーの利便性を高めるため異なる種類の電子機器において共通のGUIを採用するケースも増えている。したがって、一出願で複数の物品に権利が及ぶ保護の仕組みの導入の是非を検討する必要がある。

 そこで、画面デザインを中心とするデザインの開発実態の変化及びデザイン保護ニーズについて国際調和及び国際競争力の観点も踏まえ調査・分析し、デジタル社会におけるデザイン創作活動を保護・促進する意匠制度の在り方を検討のための基礎資料を作成することを目的として、本調査研究を行った。

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7. 商標法における認証・証明マークの保護の在り方に関する調査研究

 本調査研究では、認証機関における認証・証明業務の実態、認証機関により認証・証明された商品等に付する認証・証明マークの使用の実態及び現行の商標法における認証・証明マークの保護について、国内アンケート調査を認証機関・団体、日本知的財産協会会員企業及び特許事務所に実施し、また、国内ヒアリング調査を認証機関・団体、企業及び学識経験者に実施し、さらに、諸外国の制度調査のために国内外文献調査を実施した。そして、認証機関、企業及び学識経験者から構成される委員会では、アンケート調査、ヒアリング調査及び内外国文献調査の結果報告、並びに認証・証明マークの使用態様及びその認証方法等、認証・証明業務の実態等に関する報告がなされ、それらを踏まえた上で、認証・証明マークの保護について証明商標制度を導入する際の法的論点整理を行った。

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8. 商標審決取消訴訟における取引の実情に関する調査研究

 商標の類否判断にあたって、従来の外観、称呼、観念の三要素に加えて、「取引の実情」等を含めた全体的、総合的判断がなされている。

 特許庁での審理と裁判所での裁判(審決取消訴訟)における「取引の実情」の参酌の仕方における審理結果の不一致により審決が裁判所によって取り消される事例が発生しており、審判請求人の審決に対する予見性の低下が問題になっている。

 本調査研究は、このような背景を踏まえ、1)審決・判決の判断における「取引の実情」の現状等(審決・判決調査)、2)審理における「取引の実情」についての参酌の仕方、今後の方向性等(国内有識者ヒアリング)、3)取引形態、取引者、需要者等について(業界団体ヒアリング)、4)海外知財庁又は裁判所における取引の実情等の参酌の仕方(海外調査)、について、それぞれ調査を行った。そして、審決・判決の判断における「取引の実情」の現状、業界における取引形態等の実態、又は商標の類否判断等における「取引の実情」の参酌の今後の在り方、との観点について取りまとめた。

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9. 我が国企業の新興国への事業展開に伴う知的財産権のライセンス及び秘密管理等に関する調査研究

 我が国が国際競争力を強化してゆくには、新興国市場を成長市場として経済圏に取り込んでいくことが大切である。その為には、法制度や商慣行等を十分に認識し、事業展開を進めることが重要である。新興国ではとりわけ知的財産権制度及びその運用が我が国に比して未成熟である為、事業展開に必要な知的財産権のライセンス契約の運用や営業秘密保護の実態が不明確であるという問題や、制度上及び実務上の規制が懸念されるが、いまだ十分で正確な情報を取得しにくい状況にある。本調査研究は、このような状況を踏まえ、新興国における知的財産権のライセンス契約や営業秘密保護制度等に関する各種規制の実態及び動向並びにその留意点等を調査、整理及び分析し、実務上の適切な対処など検討を行ったものである。具体的には、国内アンケート調査、国内ヒアリング調査、海外ヒアリング調査、判例を含む国内外文献調査を実施し、これらを基に委員会にて検討を行った。

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10. 未登録の技術・ブランドの保護の在り方に関する調査研究

<1>我が国企業は、安定した電力供給網や高速鉄道網等のインフラ等を世界各国に対して積極的に輸出していくことが求められている。その際、我が国企業が競争力を持つために自社だけの技術については秘密として管理し、現地企業等によるコピーを防いだり、現地企業等がコピー不可能な我が国のアイデンティティに根ざした独自の技術を保護・強化等することが重要になりつつある。このような中で、未登録の技術を営業秘密として管理する制度について主要国を対象として検討を行った。

<2>パリ条約では同盟国が採用する監督用及び証明用の公の記号及び印章等であってWIPOに通知されたものについて、商標登録を拒絶等し、商標として使用することを禁止しているが、この通知に関しては、国内ニーズ、他国の運用、或いは他国の保護規定等について未整理であるといった問題がある。そこで公の記号や印章等について国内ニーズや他国における保護制度の実態を調査、整理及び分析を行った。

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11. 方式等の審査周辺業務を含む品質管理(監理)に関する調査研究

 近年、企業活動のグローバル化が進展し、多数の国での知的財産権の取得や活用が求められているが、これに伴い国際的に多様な権利保護システムが構築されてきた結果、提供されるサービスや品質を考慮して、制度ユーザーが世界の知的財産庁を選択する競争時代に突入し始めている。

 欧米等の諸外国の知的財産庁の中には、例えば国際標準の品質マネジメントシステム(ISO9001)を取得し、実体審査を含めた手続全体の質の維持及び向上に対する取組みを積極的に行って、サービスの改善を図っている庁も存在する。

 他方、我が国特許庁における業務の品質管理(監理)は、その取組が緒についたばかりであり、更なる品質向上を求める外部ニーズは高い。

 そのような背景のもと、ユーザーサイドにおける品質管理(監理)のニーズを把握するとともに、諸外国の主要な知的財産庁における方式及び実体審査の両側面での品質管理(監理)に関するシステムや規則、実施体制、取組状況等について広範に調査し、その結果の分析及び考察を通じた研究を行った。

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12. 平成23年度我が国経済の新たな成長に向けた産業財産権の出願行動等に関する分析調査

 我が国の新たな経済成長を達成するため、知的創造活動が果たす役割に注目と期待が高まっており、その新たな経済成長を導くための知的財産制度について、研究・議論が盛んに行われている。このような中、国内外の企業等が、知的財産を保護するための制度をどのような意図で利用し、どのような効果を得ているかを実証的に分析することは、今後の知的財産政策や施策を検討する上で非常に重要である。

 こうした中で、本調査では、これまで蓄積してきた研究の成果を取り入れつつ、特許庁の実施する「知的財産活動調査」やPATSTAT・中国特許データベース等のデータベースを駆使して、「我が国出願人による特許出願に関する統計学的分析」、「我が国出願人による意匠登録出願に関する統計学的分析」、「新興企業による知的財産戦略に関する分析」、「特許審査の滞貨発生メカニズムと審査効率の決定要因」、「東アジア(日本以外)地域による特許出願の統計分析」、「未利用特許と企業の収益性に関する統計学的分析」及び「大学・中小企業の研究成果の所有構造に関する実証分析」といった合計7つの実証分析を行った。また、知的財産活動調査の調査設計についての見直しに関する検討も行った。

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【特許庁委託産業財産権推進事業】

13. オープン及びクローズド・ソースのマルチ・ライセンシング・モデルとソフトウェア保護:これまで提案されたソフトウェア独自保護モデルの再考
ヴィクラント・ナラヤン・ワスデワ
平成23年度招へい研究者
インド・インド法律研究所、博士課程研究員

 ソフトウェアに対する知的財産の保護手段、すなわち、著作権、特許権、それとも「独自の権利」(sui generis)アプローチによるべきかをめぐって議論が盛んに行われている。「独自の権利」というアプローチの本来の重点は、著作法に基づく権利と特許法に基づく権利のバランスを図ることにある。コンピュータ・プログラム自体は著作権で保護され、また、コンピュータ・ソフトウェアの技術的用途は特許法で保護されている。著作権法及び特許法に対する新たな展望として、オープン・ソースのソフトウェア・ライセンスの仕組みが登場した。一部の企業で利用されているマルチライセンシング・スキームは、「オープン・ソース」と「クローズド・ソース」(プロプライエタリ)という複数のライセンス・スキームを利用して、ソフトウェアのライセンスを行う仕組みであるが、これが比較的最近になって発展してきた。このマルチライセンシング・スキームの利用実態を研究すると、ソフトウェア保護手段として「独自の権利」アプローチを支持する数多くの研究との親近性が高いことは明らかである。これは、恐らく、ソフトウェア業界が発展を遂げ、現状のソフトウェア保護手段と、より効果的な手段の策定方法に対する見直しが必要な段階にあることの現れであろう。

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14. 特許性のある主題としてのコンピュータ応用発明
ペッシ・ユホ・アンティ・ホンカサロ
平成23年度招へい研究者
英国・サリー大学法学部博士課程在籍

 この50年余りで、ソフトウェア開発は安定した成長を見せてきた。コンピュータ・プログラムが特許保護の対象となり得ることは、今や一般に受け入れられているが、ソフトウェア発明の審査は難しい。単純に一つの答えを出せない質問には、以下に限定されないが、コンピュータに実装される仕組みが特許することのできる発明を構成するのはどのような場合であるか、そのような主題が新規とみなされるのはどのような場合であるか、ソフトウェアの場合に何に進歩性があると考えられか、また、コンピュータ・プログラムによって実現される特許クレームによって与えられる最終的な保護の範囲は何か、などがある。

 この研究は、技術面に詳しい解説書を参照しつつ、法令、審査基準及び凡例を検討することによって、上記の問題に取り組む。この研究の地域的範囲は、日本及び欧州の特許法を含み、そのいずれも多国間協定や条約の形態で国際調和を図ってきている。理論及び比較研究の方法を通じて、この研究は、この分野での日本と欧州の実務を検討し、その他の法域から学ぶべき教示があるかの分析を試みている。この報告は、議論や将来的に解決される必要のある制度の内外における意義の一覧を示して、締めくくっている。

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15. 外国裁判所で下された知的財産権の司法保護:日本の視点
ナタポン・チュンラゲート
平成23年度招へい研究者
タイ・中央知的財産及び国際取引裁判所裁判長

 外国判決の承認・執行の段階における抵触法の原則を国際的民事訴訟に適用する場面が以前にもまして増加してきている。知的財産権の権利者に最も頻繁に生じる問題として、ある法廷地で取得した権利が、判決債務者が資産を有する別の法廷地において承認又は執行され得るのかというものがある。このため、外国の知的財産権を取り扱う判決に関する統一法のような、何らかの具体的領域における立法の必要から幾つかの提案が行われている。日本においては、外国の知的財産権に関する判決について特別な規則を設けていない国内法規定の下、外国判決は承認・執行され得る。また、日本における外国判決の承認・執行は、互恵や相互の保証が日本との間で存在する国の裁判所によって下された判決に限られていた。この研究では、多くの国で広く適用されているコモン・ローにおける承認・執行の原則の基礎にある方針を検証し、次に日本において外国判決が承認・執行される仕組みを検証する。この研究は、日本において非互恵的な判決の承認・執行に係る制限を大幅に見直す必要性を実証し、承認・執行の目的を達成し、実効的な知的財産権の国際保護に資するものである。

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16. 遺伝子及び遺伝子組換え生物発明の「新規性」要件とピア・トゥー・パテント・システムの潜在的利益
トーマス・マルゴーニ
平成23年度招へい研究者
カナダ・西オンタリオ大学法学部及びコンピュータ科学部研究員

 この研究は、生物工学に関する発明(遺伝子特許やその他の遺伝子組み換え生物)に適用される特許性要件に注目する。この研究は、比較的見地から、北米、欧州、及び日本の展望を分析する。また、関連する特許庁及びその審査官が従う内部の審査基準にも着目する。とりわけ「新規性」要件に注目し、公衆及びコミュニティの参加を頼りにした先行技術調査というより実利的な側面からも分析を行う。ピア・トゥ・パテント(Peer-to-Patent)システムについては、特許付与制度の品質及び効率性の面からその潜在的に利益となる成果を特定するために、その基本的な特徴を示す。

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17. 商標法と消費者保護 -日本・中国・韓国の標識制度の比較研究を中心に-
井手李咲
(一財)知的財産研究所 平成23年度特別研究員

 商標は、事業者の提供する商品又はサービス(以下、「商品等」とする。)に関する出所、品質、特性等の情報を消費者に伝える役割を果す。同時に、産地、成分等商品等の品質、特性に関わる他の標識は、商標と異なる独立した制度や規定に基づいているが、商標と同一商品に表示されたり、又は商標の構成要素となることにより、消費者と事業者との情報の非対称性の原因ともなる。まずは、このような現状を調査研究する必要がある。緊急性のある課題は、商標法を始めとする標識に関わる現行制度が同様な情報を伝える場面においても、相互の調和を欠き、事業者や消費者のニーズに応えられていないことである。同種の課題は、日本のみならず中国、韓国においても発生している。特に、商標権の権利付与の理論根拠は、他の標識制度と異なっているため、商標法制度には脆弱性が生じていると考える。この研究では、国際的な比較調査を踏まえて、諸事例の分析を行う。その上で、新たな考え方(消費者の情報の不完全性に基づく動的要因機能論)を提案し、取り上げた課題の普遍性に着目しつつ、日本の標識制度改正に対して示唆を与えることを試みた。

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18. 特許制度改正が医薬品産業におけるイノベーションに与える影響
小坂賢太
(一財)知的財産研究所 平成23年度特別研究員

 医薬品産業において、新薬の開発は多額の費用と時間が掛かる上に、成功率も低い。一方で、新薬を模倣するには、新薬の開発ほどには費用が掛からない。このため、医薬品産業で新薬開発のインセンティブを確保するには、特許制度が極めて重要になる。この研究の目的は、このように特許制度が極めて重要になる医薬品産業において、特許制度改正が、企業のイノベーションにどのような影響を与えるのかを実証的に検証することにある。具体的には、企業の財務データ、特許データを用いながら、日本における1976年の物質特許制度の導入が、日本の製薬会社における研究開発費と物質特許の獲得につながる発明活動を増加させたのかを企業レベルの財務データと特許データを用いながら定量的に評価する。検証の結果、日本における1976年の物質特許制度の導入によって、日本の製薬会社の研究開発費と物質特許件数は共に増加していることが分かった。このことから、物質特許制度の導入という特許権の強化は、医薬品産業のイノベーションを促進したといえる。

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19. 先使用権の根拠論に関する比較法研究(英米法を中心に)
武生昌士
(一財)知的財産研究所 平成23年度特別研究員

 「ある発明に関してAが特許出願をなしたが、Aによる出願よりも前に、Bが、Aとは独立に同一の発明をし、当該発明を用いた製品を製造・販売していた。Aに特許は付与されるか(Aの特許は無効となるか)。Aに有効な特許が付与される場合、Bは製造販売をAへの特許付与後も継続できるか。」このような問題に対して、我が国の特許法は、①Bの製造販売により発明の新規性(特許法29条1項)が失われている場合、Aには特許が付与されず、Bは製造販売を継続可能、②新規性が失われていない場合、Aには特許が付与されるが、Bは先使用権(同79条)の範囲内で製造販売を継続可能、との解決を採用している。しかしながら、歴史的・比較法的に見た場合、上記解決は唯一のものではない。1977年改正よりも前の古典的英国法、及び2011年改正前の米国法は、我が国とは異なる解決の仕方を採用していた。この研究は、これらの法制が、いかなる考慮に基づいて、先使用者と特許権者との間の法的規律について我が国現行法と異なる立場を採用していたのかを探究し、翻って、我が国の先使用権制度及びその根拠論が持つ特質を明らかにしようとするものである。

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20. 知的財産権侵害の準拠法と不法行為準拠法との関係
種村佑介
(一財)知的財産研究所 平成23年度特別研究員

 知的財産権侵害を不法行為と法性決定する場合、不法行為の準拠法が適用される。不法行為の準拠法について、我が国の法の適用に関する通則法(以下、「法適用通則法」という。)は、単位法律関係の類型化や連結点の柔軟化を通じて柔軟に準拠法を決定する。このような法適用通則法における不法行為準拠法選択規則が知的財産権侵害に適用される場合には、どのようなことを考えなければならないか。とりわけ、知的財産権一般を支配しているとされる、いわゆる「属地主義の原則」、及び同原則が抵触法に与えている影響との関係では、どう捉えたらよいのか。この研究では、不法行為準拠法の柔軟化によって知的財産権侵害に対する取扱いがどのように変化するのかについて、英米法諸国、とりわけイングランドにおける議論の変遷を軸として検討を加えていく。

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21. 特許法103条と責任法上の注意義務 ―産業財産権法の過失の推定規定の再検討―
露木美幸
(一財)知的財産研究所 平成23年度特別研究員

 この研究は、特許法103条の過失の推定規定の立法経緯、立法の意義及びその実際上の運用を研究することにより、現代社会において103条が内包する問題点と、在るべき特許調査義務の姿を探求することを目的とするものである。この研究の独自性は以下の三点にある。第一に、特許法103条が依拠した原典として1949年英国特許法59条1項であることを発見し、特許法103条で要求する過失の内容を「その他人の特許発明を実施せざるよう相当な注意を払ったこと」という客観的注意義務としての損害回避義務であり、特許法103条は実施者の損害回避行為規範の役割をも有する効果を有することを導いたことである。第二に、工業所有権制度改正調査審議会の議論や立法当時の立法関与者の見解から、特許法103条は、鑑定・公報・特許法103条の三位一体での制度設計を企図していたことを発見し、実際の訴訟においての過失の立証について公報と鑑定が重要な役割を果たすことを導いたことである。第三に、特許権侵害の救済に関して異なる制度を有する米国・ドイツ・日本の3か国における判例・学説を比較検討し、3か国における過失に係る専門家意見(鑑定)の役割の接近を看取し、特許調査実務における鑑定の利用に一定の示唆を見いだしたことである。

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22. 近代日本の産業財産権政策 -パリ条約加盟をめぐる日英米の政治過程の分析-
靏岡聡史
(一財)知的財産研究所 平成23年度特別研究員

 明治の文明開化以降、日本は早急に近代化を達成するため、欧米諸国の優れた科学技術を積極的に導入し、国内産業の振興を図ってきたことが言及されてきた。しかし、その後、日本がどのように国内産業を振興し、海外進出を図ろうとしていたのかについては、余り多くの注目を集めてこなかった。特に、明治32(1899)年のパリ条約加盟については、日本が本格的に国際競争に参加することになった出来事であったが、その詳細な経緯については依然として明らかにされていないことが多い。そこで、この研究では、日本のパリ条約加盟をめぐる政治過程を通じて、近代日本が、激しい競争が繰り広げられていた国際社会の中で、どのように国内産業を振興し、海外進出を図ろうとしていたのかについて明らかにすることにより、今後の産業財産権制度を立案する上での一つのモデルケースを提供したい。この研究では、特に日英両国の外交交渉に着目し、新たに英国側の外交文書も用いて報告する。

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23. 米国商標法における混同概念の拡張について
小嶋崇弘
(一財)知的財産研究所 平成23年度産業財産権専門家派遣研究員

 近時、商標に付着する財産的価値の高まりや、検索エンジン等のインターネット技術の発達により、従来見られなかった態様で商標が使用されるようになっている。このような環境の変化を受けて、出所識別機能を保護することにより、商品の購買時の混同を防止するという商標法の伝統的な枠組みが揺らぎ始めている。その一例として、需要者が商品を購入する時点で混同が生じていないにもかかわらず、商品購入時の前後に需要者又は一般公衆に生じる混同を捉えて侵害を肯定するという考え方(「購買後の混同」及び「購買前の混同」)が現れている。この研究では、伝統的な「混同のおそれ」概念の拡張を歴史的に検討した上で、これらの新たな混同類型に基づいて、混同概念を時的に拡張することの是非を検討する。その際には、裁判例及び学説の蓄積がある米国商標法の議論を参照する。最終的に、この研究は、混同概念の時的拡張を認めるべき場合も存在するが、商標法の目的及び機能に照らして正当化することができない範囲にまで保護範囲を拡張することは、認められるべきではないと結論付ける。

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